タネ明かしに関して#2(インターネットにおけるマジック事情)
文:秋元 正

その1
 去る、9月8日、フジテレビにてテレビ番組「不思議どっとテレビ。これマジ!?」においてウィザード・イン所属のマジシャン緒川集人が出演し、マジックの演技とマジックのテクニックを披露しました。この中でマッスルパス、クラシックフォース、エスティメーションを視聴者に見せ、このことからマジックのテクニックを公共放送で一般に対して見せることを疑問視する意見が生まれウィザード・インの運営する掲示板やマジック・メーリング・リストなどで議論が起きました。私自身は番組制作には関わっていないため番組がどのような経緯で作られたかには詳しくありません。番組の経緯、コンセプトに関しては緒川集人氏自身のホームページで近々コメントが発表されることでしょう。

 このことはマジック界、インターネットの普及による変化、プロとアマのスタンスなどを改めて考える機会となりました。インターネットの普及により地理的に遠く離れたもの同士が交流を持つことが出来、他人の考えを知識として取り入れ、共有することが非常に容易になりました。マジックに於いてもインターネットによるメリットは計り知れないものがあります。情報発信も非常に容易なものとなりました。しかし、文字による情報伝達はそれだけで説得力を持つことが少なくありません。その結果、正しい情報と間違った情報、ニュートラルな意見と偏った意見、主観と客観の区別がつきづらくなっている感も否めません。そして、ホームページの完成度の高さと情報の説得力のすり替えが起こる場合が往々にしてあるようにも思えます。わかりやすく言えば「カッコいいホームページに書いてあることは、その内容までが正しいと鵜呑みにしてしまう」ということです。
 現在、「スティングのマジックの玉手箱」や、「マジェイアの魔法都市案内」ではかなり本格的にタネ明かし問題について文章を掲げてあり、個人名、団体名も明記されていますが、その内容はかなり偏ったものであると言わざるを得ません。もちろん、各個人にそれぞれの主張がありそれに基づいたホームページとなっているわけですから、情報の正確さとホームページ自体の存在意義を簡単に等号で結びつけることは出来ませんし、確かに得られた資料と、事実関係、そして推論を交錯させての理論体系作りは読み手を納得させるだけの力があります。一部のテレビ番組がレポートと称して、取材前から決まっているテーマに沿う素材のみを抽出し、構成と編集技術によってそれが世論であるかのようなものを作り出してしまうことがありますが、インターネットのウェブページではそのようなことが個人レベルで出来てしまうのです。
 また、インターネットの普及により個人の発言力が増大したため、プロが許容している事柄に対してアマチュアサイドが「こんなことをさせておいて良いのか?」的に問題を煽っている傾向も見られます。これにより不必要な歪みが生じないことを願わずにはいられません。

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